人生最良の日々

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※この記事にはプロモーションが含まれています。

最近、「男と女 人生最良の日々」という映画をAmazon Prime Videoで観ました。

2019年のフランス映画であるこの作品は、

1966年の同じくフランス映画の名作、「男と女」

53年後の物語という触れ込みに、興味をそそられ視聴することにしました。

(86年の「男と女Ⅱ」という20年後を綴った映画もあるのですが、コチラの続きではないそうです)

ちゅうにとって「男と女」といえば、未視聴のため、内容も分からない映画ではあるのですが、

フランシス·レイのテーマ曲が如何にもといったフランスっぽい音楽で、

誰もが知っている有名なスキャットがあって、

泣かせる曲でもなく、ノリの良い曲でもなく、

明るさもあり、暗さも感じる不思議な雰囲気を持つ曲だと感じていたので、

昔は、どういったエンディングを迎えるのか見当もつかないテーマ曲だと思っていました。

ダバダバダのスキャットに引っ張られながらも、結構bleuでおしゃれなこの曲は、歳を重ねるごとに良さが分かっていくわけですが、

いつか映画の方も観たいと思いながらも、答え合わせすることもなく、

先に男と女の最終章を観ることになってしまいました。

それにしても、いつかいつかと思いながら観ていない映画のなんと多いことか。

まぁ、続編がある時点で、53年前にあった結末は、

別れ であると予想しているわけですが、

アクターも制作側の人間も53年前と同じ、という情報からも、

俄然どんな作品なのか知りたくなってしまいました。

高齢になった男と女の最終章を、

そして、サブタイトルの人生最良の日々が過去のことなのか、現在のことなのかを、見届けてみたくなりました。

今回は、

前作を未視聴ながらも、

この映画だけでも、内容が分かるようになっている魅力あるプロジェクトだと、皆様に伝えたくなったので、

今回は、いつもとは少し違う方法で、

簡単なあらすじから、視聴感想までお話ししたいと思います。

又、今回は男と女の音楽とフランシス·レイの曲を4曲、

フランス人のジャズや映画音楽、

人生についての名曲、

をピックアップしたプレイリストも作りました。(best days of my life 全14曲 57分)

コチラもお聴きいただければと思います。


曲はamazon prime musicのプレイリストでまとめているので、コチラから👇

best days of my life
https://music.amazon.co.jp/user-playlists/f44879a5bfed481e8df3732be697c0ddjajp?ref=dm_sh_ikERR7wdKjvKbvUhQadb85CBk


「男と女 人生最良の日々」は、2019年のフランスの恋愛映画。

🆘ネタバレ注意🆘

昔、有名なカーレーサーであったジャン·ルイは、介護施設で余生を過ごす車イスの老人。

施設では友達もおらず、いつも一人で決まった椅子に座り、物思いに耽っています。

記憶を失いかけているジャンが話すことは、過去に愛した女性アンヌのことばかり。

ジャンの息子アントワーヌは、父をアンヌに合わせることで、記憶の喪失を止められるのではと考え、

父の最愛の人アンヌを探し出します。

アントワーヌの呼びかけにアンヌは答え、昔の恋人ジャン·ルイと会う決心をするのですが、

ジャンは、年老いたアンヌを自分が愛したアンヌだと認識できません。

ただ、声が昔の恋人に似ているとか

髪をかき上げる仕草が昔の恋人に似ているとか、

アンヌのことを特別に感じているようです。

又、ジャンが財布の中からアンヌの古い写真を取り出し、彼女に見せてくれたことで、

アンヌは、今もジャンの想い人であることを実感したようです。

そしてジャンに、

一緒に逃亡しないか、と誘われます。

ジャンにとってこの養護施設は刑務所と一緒で、

自由を求めて逃げ出したいと常々考えていたのですが、

ジャンはこの出会い(再会)から、彼女を共犯とし二人で逃げたいという風に変化していました。

こんな交流を機に、二人は少しずつ昔の関係を取り戻していきます。


ここまでの話の中でジャン、アンヌともに様々な情報が分かってきます。

妻に自殺され残された子供アントワーヌと暮していたジャンと、

夫に先立たれ、娘フランソワーズと暮していたアンヌは、

子どもの保育施設で二人は出会い、恋に落ちたようです。

これが53年前の話で、双方の子どもが共に5才の時のことでした。

ちなみに、アントワーヌとフランソワーズの子ども組は、

現在58才でどちらもシングル状態。

(幼馴染のコチラもなんとなく何かありそうな予感あり)


アントワーヌは、大きな花束を持って、父親ジャンと会ってくれたアンヌの自宅を訪ねます。

父に会ってくれたお礼と、再会がどんな感じだったのか確認に来たのでしょう。

出迎えるのは、

アンヌアンヌの娘フランソワーズフランソワーズの娘。(アンヌの女系3代)

ジャンとアンヌの再会の話、アントワーヌとフランソワーズの子どもの頃の思い出話で盛り上がります。

それは、アンヌの娘や孫にも歓迎される出来事に変化していることを意味するのでしょう。

アンヌは、正直な思いを告白します。

“再会はとても嬉しかったけど、二人が失った時間が長すぎたこと、その間に彼が大きく変わってしまったこと、そのことに心が痛むの”

“でも、これが人生”

“それでも、彼の好きなところが全部無くなった訳じゃないのよ”(ちゅう意訳)

とアンヌ。


アンヌと再会した後、寝ても覚めても彼女との思い出や、二人で施設から脱出する夢や妄想ばかりのジャン。

混濁する意識の中、

又彼女はやって来ました。

ちょうどあなたの夢を見ていた、とジャン。

アンヌが椅子に座っている間じ~っと彼女を真剣に見つめてジャンは言います。

“あなたは誰だ”

“2日前にも来たわ アンヌ·ゴルティエよ”

“ありえない もしアンヌなら俺は求婚してる”

“試みたはず 50年前に”

“失敗したのか?”

“そうね”

そんな会話の後、ジャンの担当医に彼をドライブに連れ出すよう勧められたとアンヌ。

今までどうしていたのか(どんな生活をしていたのか)と尋ねられたアンヌは、

あなたを思っていた、と。

あなたといたときが、一番幸せだった、とも。

言葉がすらすら飛び出す二人。

ドライブはどこがいいか聞くアンヌに

“後戻りできない所”とジャン。

結局、二人は思い出の地ノルマンディーのドライブに出かけることになります。


二人が初めて結ばれたホテルの26号室

車乗り入れ禁止の板張り道のドライブ

思い出の海岸

などなどセピア色の過去、思い出も交え、美しい映像が映し出されます。

その海岸でジャンは、共に生きてこれなかったことをアンヌに詫び、

死ぬ時は一緒に、とジャン。

二人にとっての最良の日々は、人生の最後にやってきたのでしょうか。

そして今日も養護施設には車椅子を押すアンヌの姿がありました。


曲はamazon prime musicのプレイリストでまとめているので、コチラから👇

best days of my life
https://music.amazon.co.jp/user-playlists/f44879a5bfed481e8df3732be697c0ddjajp?ref=dm_sh_ikERR7wdKjvKbvUhQadb85CBk


こういう映画があってもいい、コレが ちゅうの率直な感想です。

ストーリー的にはポイントが低いとしても、プロジェクトのアイデアの完全勝利だと思います。

そして未視聴ながらも感じる名作「男と女」の圧倒的存在感。

かなりの比率で出てくる過去のセピア色の映像は、

53年前の映画を見ていなくても、とてつもない物語性を持つ映像だと分かります。

ただただ美しく、悲しく、儚い、夢のような映像に、不覚にも涙が出てきました。

特に頭に残ったのは、アンヌに会うために早朝のパリを車で爆走するシーン。

バッグに流れる mon amour の美しさ、

時折、挟んでくる楽曲“男と女”の有名なスキャットも含め、

感情をもっていかれます。(プレイリスト2曲目)

どれだけアンヌを愛していたのかを証明するかのようなパリの街の爆走は、常識離れした行動ですが、

コレがアンヌがジャンを愛する理由なのでしょう。

53年振りに会って、彼が失ったと感じた男性的な部分というのは、このことを示すのだと思います。

このパリの暴走シーンは、ノルマンディーのホテルのシーンから繋がると思うのですが、

そのホテルで初めて繋がった時に、アンヌには亡くなった前夫の気持ちも残っていました。

それを悟ったジャンは、電車でパリに帰るというアンヌを、言うがまま駅に送り帰らせてしまうのですが、

ジャンは思い直し車を飛ばし、彼女がパリ駅に着くのを先周りしようとしたのが、

パリの大爆走なのでしょう。

アンヌが電車を降りた時、プラットフォームにはジャンが立っていた訳ですが、

彼の常識外な行動力にアンヌは男性的逞しさを見たと思うのです。


今回の簡単なあらすじにはあえて外した事項があるのですが、

養護施設の担当女性とジャンの息子アントワーヌの会話シーンがありました。

ジャンはわざわざ病気のフリをする印象があると、担当女性。

アントワーヌも昔から父はそういう気質があると認めるのですが、

病気のふりをするのも、

アンヌにジャンは変わったと落胆させるのも、

パリの大爆走も、

みんな彼の常識外がなせる彼の気質なのでしょう。

繰り返しますが、それがつまりアンヌが愛したジャンの気質なんだと思います。

廻りを手玉に取るいたずらっ子のようなジャンは失われていなかったのです。

映画の最後にアンヌが養護施設を訪れた時、アンヌはジャンに、

“あんた誰だい?”と言われます。

しかしアンヌは扱いが慣れているように彼になすがママの安心感を見せてくれます。

芝居じみた彼の言葉遊びを彼女は受け入れているのです。

そりゃそうです。

こういう彼の気質を一番愛したのがアンヌだったのですから…


この映画の本国フランス公開が2019年でしたが、

2018年に音楽を担当したフランシス·レイが86歳で逝去、

2022年6月17日には、ジャン役のジャン·ルイ·トランティニャンが91歳で逝去、

2024年6月18日には、アンヌ役のアヌーク·エーメが92歳で逝去されます。

こういう内容の映画公開前後に主要関係者がお亡くなりになるのはドラマチックに感じる部分もあります。

特にカップル役のジャンの2年後の命日の翌日にアンヌ役のアヌークエーメがお亡くなりになったのは、

何か不思議な縁を感じずにはいられません。

最後にこのような名作を残していただいたことに感謝したくなった ちゅうでした。


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