Dianaというタイトルで思い出される曲はoldiesのラブソング、Paul Ankaのダイアナという人は多いでしょう。
ちゅう もこの曲を思い出します。
同曲カバーでレゲエのヘプトーンズver、日本語で歌っている方もいましたね。
同名異曲だと、gretschの四角ギターのボ・ディドリーの曲や
イギリス国王チャールズ三世の前妻、生前中のダイアナ元妃を歌ったBryan Adams の曲もありました。
曲名は違いますが、Elton Johnのマリリン·モンローに捧げた歌を、
ダイアナ元妃に替えリメイクしたcandle in the windもダイアナの歌ですね。
ダイアナさんを歌った曲は、ちゅう が知らないだけで、他にも沢山あるでしょうね。
それらの曲は多分、美人、かわいい、憧れの女性や恋人の設定のラブソングかなと予想できます。
人名が曲名になる歌ってそういうイメージあります。
明るいポップスなら彼女の魅力を伝えるラブソング、
バラードなら彼がどんなに彼女を好きかを伝える,もしくは復縁を訴える愛しのラブソングでしょうね。
ですが、今日のダイアナは少し違います。
真っ暗な深い森の中、ホラーな奇人に追いかけられ、逃げ回るダイアナさんの歌ですから。
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1971年、英国のフォークロックバンド、コーマス(comus)はデビューアルバムである 魂の叫び(原題first utterance)をリリースします。
その冒頭の一曲目が Diana になります。
曲の特徴としては、
アコースティックなのに激しいギター、
男女混成で野生的なヴォーカル、
土着的なパーカッション、
狂気じみたフルート、ヴァイオリンが追いかけてくる、
不思議な魅力を纏ったバンドです。
70年代はフォーク系の音楽といってもシンガーソングライター(SSW)ばかりではなく、
ペンタングルなどのテクニカルなバンドや
イタリア系に多いクラシカルなバンド、
土着的でトラディショナルなバンド、
牧歌的なバンド、
呪術的でサイケでアシッドな今回のコーマスのようなバンドと様々あります。
欧州では彼らをプログレに分類する見方もありますが、
ちゅう 的にはフォークなロックバンドというのがしっくりきます。
ただ彼らは狂気度というか、いろんな意味で振り切れているので、
唯一無二の変異型フォークロックバンドという感じですね。
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コーマスというバンドの名前は、
失楽園(paradise lost) で有名な ジョン·ミルトン の仮面劇 Comus から引用されています。
仮面劇は言葉の通り役者が仮面をして演じる劇なのですが、
宗教や神話に基する民族行事などにそのルーツがあるようです。
ミルトンの仮面劇コーマスという名前も、古代ギリシャの 歓喜の神 からとったとのこと。
ちなみに歓喜の神コーマスの父親はワインの神バッカス、母親は魔女キルケー。
この劇の堕落したコーマスは、
淑女を捕らえ死霊術を使い様々な悪徳をけしかけるのですが、
彼女は美徳をもって精神的抵抗を続け、
最後は、彼女の兄弟たちと守護霊に助けられる、というのがお話の概要です。
コーマスと淑女からは
悪徳と美徳、卑劣と高潔、肉体と魂と様々な対立項が読み取れますね。
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この仮面劇コーマスがそのままバンド、コーマスのファーストアルバム「魂の叫び」の題材で、
一曲目 Diana は、高潔なダイアナが卑劣な仮面男コーマスに追い回される、そのふたりの場面を、
男女混成ボーカルがドラマチックに盛り上げる歌です。
緊迫の場面で、詩の内容も緊迫なのですが、何かどこかコミカルな雰囲気の曲なんですよね。
演奏は音の強弱が絶妙で、このアップダウンというかメリハリというか呪術の儀式でしょうか、
ミュージカルや演劇見てるようなコミカルさなんです。
もちろんおどろおどろしさもきちんとあるんです。
役者はいないですがバンドコーマスは楽器で仮面劇コーマスを演じている気がするんですよね。
ミルトンが書いた演劇をコーマスが現代風にプロデュースしてみました的な。
このアルバムは全7曲どれも聞きどころ満載なのですが、あえて挙げれば前半3曲でしょうか。
Diana , the Herald , drip drip と続く3曲でコーマスの雰囲気は掴めるでしょう。
特に3曲目ドリップ·ドリップ は狂気度爆発です。
led zeppelinのbabe I’m gonna leave youに似ているところがありますが、ボーカルの絡みが絶妙で妖しさ満載です。
変人コーマスの奇祭の歌ですね。部族の祭りの歌だとみんな思うでしょねこれは。
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このアルバムはDavid Bowieにも認められ、彼のオープニングアクトとしてステージにたったことがあるようです。
ボウイの音楽活動はsoundのみならずvision(ファッションや様々なアート)などがセットであるので、
コーマスの奇怪なアルバムジャケットやアルバムコンセプトを間違いなく気に入ったでしょうね。
題材や音楽の音作りだけじゃなくジャケットとか含め音楽劇コーマスの作品をボウイが評価するのはとても解りやすい話です。
最近こういったバンドに出会えないのが残念です。
コーマスは寺山修司時代のJ.A.シーザーと重なるところがあると ちゅう は考えていたのですが、
演劇という共通要素からそう思ったのだと思います。(ちゅうはコーマスを大分後で知ったけど)
唯一無二のバンドだからなかなか現れないのは仕方がないけれども、
フォークでロックなバンドも少なくなりました。
SSWなら昔から沢山いますが、フォークでロックなバンドも沢山活躍して欲しいちゅうでした。
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