いい人は誰? と聞かれれば、
間違いなく「 江頭2:50 」と即答してしまう ちゅうは、
昔見た、江頭さんのいい人ぶりを紹介するニュースに感動してからというものの、
今現在も、江頭さんの営業妨害をするニュースやユーチューブを探して、見ては、涙しているわけですが、
彼は本当にいい人という言葉が似合います。
借金をしてまで、被災地に物資を運んだり、名前を名告ることなくボランティアに勤しんだりと、
無償の奉仕も厭わない優しさや行動力を持ちあわせ、
時には、大手企業の入社式で、新社会人を鼓舞して、泣かせる、熱いハートの持ち主でもある彼は、
暗いニュースばかりの世の中の救世主に見えてしまうのです。
彼の混じりっ気のない人なりが、丸わかりというか隠せないんですよね。
ホントにいい人の代表格。
ただ、
最近の感覚では、
いい事を成し遂げるためには、ダークヒーロー的な正義も必要なときがあるのかなぁ、
と考えさせられることが多くなりました。
100%正しいというわけではないけれども、コレしか方法がない、的な
最終兵器をぶっ放すダークヒーローが…
今回は、こんなことを少し考えさせられた
「カレンダー·キラー」という映画をご紹介したいと思います。
カレンダー·キラー(原題 Der Heimweg)は、2025年1月16日に 配信公開したばかりのドイツ映画で、
アマゾンが所有する Amazon MGM スタジオ制作のサイコ·スリラーになります。
原作はドイツの作家、セバスチャン·フィッツェク のベストセラー小説で、
他にも映画された「Das Kind」や「治療島」というドラマ作品があり、どちらも評判が良いようですね。
(映画 変態島 なら観たことあるけど、彼とは関係ないもようw)
今回のカレンダー·キラーもなかなか凝ったストーリーを持つ力作ですので、
是非ご覧いただきたいと思います。
🆘ネタバレ注意🆘
地下室のような窓のない部屋で眠る女性。(地下の物置部屋と思われ)
蠢虫が彼女の身体を這うところを見ると、
ジメジメして薄暗い室内は、女性が好き好んで眠る場所とは思えません。
目覚めた彼女は、すぐに薄汚れた壁に描かれた赤い文字の羅列に目をやります。
“12月6日 彼か君か どちらかが死ぬ”
という血で描かれたような文面とともに
彼女と彼女の旦那らしき人物とのツーショット写真が貼られており、
写真に映る二人を切り裂くように、十文字が描かれています。
こちらも血文字のような十字架…
辺りを見渡す彼女を見て、カレンダー·キラーと思われる人影は、
彼女に気づかれぬまま、その場を立ち去るのですが、
カレンダーキラーの予告殺人事件は、彼女だけではなく、今般多発しており、
テレビでも取り上げられるほどの社会的ニュースとなっているようでした。
“帰宅ヘルプホットライン”として働くジュールスはこの物語の重要人物。
帰宅ヘルプホットラインは、
独りで家路にむかう女性の安全を電話口でサポートする行政による夜間サービスのようです。
性被害や暴力にあう女性が4人に1人とされるドイツでは、このような女性を守るサービスが存在するようです。
今夜も電話を取るジュールスは、
複数の男たちにつけられ、助けを求めてきた カーロいう女性を、
機転を利かせたアドバイスで男たちを追い払い カーロを救います。
こうやって女性を助けるのがジュールスの仕事。
自宅での電話対応なので、電話待機の時間では、ベットで眠る娘の様子を見にいったりと優しいお父さんの一面を見せていますが、
見ている限り本日は、奥さんは家におらず、娘と二人のようです。
ジュールスは電話待機中に、精神病院のパンフレットを見る場面があったので、
もしかすると奥さんは、精神を病んで病院で療養中なのかも知れません。
彼は見掛けからくる穏やかな印象や、ホットラインでの丁寧な対応、娘への対応を見ていると、
優しく、正義感の強い好人物に見えます。
(おじさんですが、見掛けは優しそうなハンサム美青年のなりです)
“帰宅ヘルプホットラインです”
急に場面は変わり電話対応中のジュールスの画面。
しかし電話口から返答がないため、
同じセリフを繰り返すジュールスの顔つきは真剣な仕事モードに変わっていきます。
相手は、声を出すことが出来ない緊迫した状況下に置かれているのでしょうか、
大丈夫なのか、誰かに脅されているのか確認しても返答のない電話口…
すると、
“もしもし、誰なの?”
と女性の声がします。
電話に連動する帰宅ホットラインのパソコンには、
今、女性の使っている電話番号とともに、
今現在の時間が( 12月6日 ⁉ 21:25と表示⁉😲)表示されています。
どうやら、雪の中、コートのポケットに手を入れて外を歩いていた女性のスマホ誤作動で
偶然ホットラインと電話が繋がってしまったようなのですが、
ジュールスは彼女の異常さを嗅ぎ取ります。
困りごとはないか、と彼女に問いかけると、
“手遅れよ” と彼女。
やはりジュールスの予感は当たっているのでしょうか。
何が遅いのか尋ねると、
“私は今夜 殺される” と彼女。
どうやら彼女は、冒頭のカレンダー·キラーに12月6日に殺害予告された女性のようです。
電話を切らせないようにしなければ、と直感したジュールスは会話が切れないよう話を続けます。
会話の中からクララ·ヴェルネットという彼女の名前を聞き出し
早速ホットラインのパソコンでクララの情報を探そうとするのですが、
ジュールスの自宅でも何か不穏を感じたのでしょうか、
家の戸締まり等を確認しながら、クララとの会話を進めていきます。
(耳に発信器を掛けているので電話をしながら歩き回ることが出来ます)
“君を殺そうとしているのは誰?”
“誰も信じてくれない” とクララ。
“僕は信じる” と引き下がらないジュールスは、
クララの口から犯人は、世間を賑わせている カレンダー·キラーだと聞き出します。
自宅の気掛かりの点検を済ませたジュールスは、パソコンの前に戻りクララの話に傾注します。
彼女の夫は、カレンダー·キラーの存在を信じておらず、クララの妄想だと取りあってくれないといいます。
(旦那は、自分も殺人の対象になっているのに気にもかけていないと)
クララはジュールスと話をしながら、車庫まで辿り着き、(何処の車庫かはわからず)
電動シャッターを開けて自殺の準備を初めているようです。(密閉空間での一酸化中毒自殺を準備している)
ジュールスは電話口でのシャッター開閉音や彼女の涙声から、
イヤな予感を感じたのか、懸命に説得にかかります。
ジュールスは、ヘルプホットラインのパソコンの彼女の過去の情報履歴で
夫から暴力されている可能性があることを知り、
夫からの暴力、カレンダーキラーからの殺人予告と二つの問題を抱えていることを知ります。
ちょうどその頃、
毛糸の帽子を被った眼鏡男が、クララのアパートメントの前に車を停めていました。
車の中でクララの写真を見つめるその男は、彼女の帰宅を待つ カレンダー·キラーなのでしょうか。
クララは旦那から受けた、本日の先ほどまでの暴力のこと、を ジュールスに話し初めます…
12月6日の結婚記念日を ホテル·ル·ゼンの高級レストランで祝うクララと彼女の夫。
夫が着て欲しいと願った黒いセクシーなドレスでドレスアップしたクララは、昔の職場仲間と会います。
ここでの会話で、
クララの夫マルティン·ヴェルネットは、ベルリン州の内務次官という超エリートであり、
クララは元弁護士で、現在は子育てのために家庭に入っていることが分かります。
夫マルティンは、クララが苦手な魚介類を、元気が出るからと勝手に頼んで食べさせたりと、
クララの気持ちを全く考えないクズ男でした。
その海老の料理から虫が湧いてくる幻を見たクララは、
派手にグラスを床に落としてしまいます。
過去にクララは精神を病んでおり、病院に入院していた時期もあったようで、
又病院に送るぞ、とマルティンに脅されてしまいます。
この辺りからも夫と妻の支配関係が見えてきます。
苦手な魚介類を飲み込むように食べ終えたクララは、
マルティンに手を引かれるまま、
ホテル·ル·ゼンにある秘密の会員制クラブに連れて行かれることになります。
V.P.ナイト と呼ばれるその場所は、男たちが全員 金色のマスクをしており、
マルティンにもそのマスクが渡されます。
クララは、給仕の女性に V.P.ナイトのことを聞いてみると、
“バイオレンス·プレイ” とだけ教えてくれます。
SMクラブのような設備·道具(よく知らんけど)が置かれるその場所で、
マルティンに薬を盛ったお酒を飲まされたクララは、
朦朧とした意識の中、
マルティンの目の前で、
会員の金色マスクをした男たちに道具やら何やらで痛めつけられます😭
それを満足そうに眺める変態マルティン…
ここまでの話で、割り込むジュールスは
マルティンの元を去るべき、と感情をぶつけます。
6歳になる アメリエは、父親っ娘だから可愛いそう、とクララ。
娘アメリエには父親が必要だから、カレンダーキラーの死(自殺)が与えられるのは私の方がいい、という考えを持っています。
クララは車庫のシャッターを閉め、車に乗り自殺の準備を初めます。
(マフラーを透明なパイプで繋ぎ、窓から車内に排気が入るように細工して…)
車庫のシャッターを閉める音と、車に乗り込む開け閉めのドアの音で、
一酸化炭素中毒自殺を図ろうとしていることを悟ったジュールスは、電話口で必死に説得します。
“アメリエは一生立ち直れなくなってしまう”
と、ジュールスは懇願するように自殺を止めようとするのですが、
スマホを切られてしまいます。
そしてクララは、車のシートを倒し、エンジンをかけ目を瞑り覚悟を決めます。
走馬灯のように流れる画像は、
バイオレンス現場からひとり逃げ切った回想場面と、
娘アメリエのこと。
娘の最後の声が聞きたくなって、
子供を世話してくれるシッターに最後の連絡をしようとするも、
留守番電話に繋がりアメリエと最後の別れも出来ません。
娘に聞かせてあげて、と最後のメッセージを残すクララ。
電話が切られてから何度かクララに電話を入れてみますが、
受けて貰えないジュールスには焦りが見え初めます。
そんなタイミングで、ジュールスのスマホに彼の父親から電話が入ります。
実は今日何度か父親からの電話に気づいていたのですが、
職務中だったからでしょうか、父親の電話を無視していました。
“今 忙しいんだ” と面倒くさそうに ジュールス。
“何かあったのか?”
“緊急事態だ”
“消防に復帰したのか?”
“ホットラインで話した女性が自殺しようとして…”
何度も電話をしていた彼の父親は、本当は別の用事だったのかもですが、
息子の緊急事態に手を貸してくれるといいます。
相手が自殺しようとしている緊急事態ですが、
個人情報の守秘義務も守らなければならないジュールスの心は揺れます。
“お前の気持ちはわかる 助けたいんだろ? ダヤナを助けられず…”
父親の言葉を遮って怒りで電話を切ってしまうジュールス。
父親からの電話で解ったことは、
①ジュールスは以前消防にいたこと
②似たような状況でダヤナ(妻?)という女性を助けられなかったこと
が解ります。
直ぐに、父親からダヤナの名前を出したことを詫びる電話がくるのですが、
尚も “手伝う” という父親に
クララ·ヴェルネットという助けたい女性の名前と、
ホテル·ル·ゼン の秘密クラブの話をします。
ジュールスは父親を頼ることにしました。


その頃、一酸化酸素中毒の自殺を図り、車内で眠っていたクララは、
娘アメリエとの思い出の走馬灯にいました。
否、走馬灯ではなく、
傷ついた母親クララを慰めるアメリエの夢に見えます。
息苦しさから目覚めたクララは、
無意識に車のドアを開け、吐瀉物を吐き出します。
夢の中の娘アメリエに助けられたクララは、
車庫から別の建物に入っていきます。
どうやらその建物は、ヴェルネット家の別荘のようでした。
スマホが鳴り続ける中、照明を付けない暗い部屋の中で立ち尽くすクララ。
クララのスマホを鳴らしているのは、ホットラインのジュールスなのですが、
神妙な顔つきで応答を待つ彼の様子を映すとともに
カーラジオから聞こえるのは今夜のベルリンは雪になるというニュースと、
只今の時刻は10時3分です という時報の中、
車を運転中の毛糸帽子の眼鏡男の映像も挟んできます。
クララ、ジュールス、毛糸帽子眼鏡男の三者に残された時間は、
あと1時間57分。
最初に動いたのは、別荘待機のクララ。
ジュールスの電話に出ることになります。
具合が悪くなって自殺を断念したというクララは、
カレンダー·キラーもわからない場所に隠れているといいます。
逆にどうして私に構うのか、ジュールスに問います。
“仕事柄、クララのような暴力に遭う女性に会ってきて、何度も何度も救おうとしてきたけれども、
警察が介入してくることでいつも暴力男は野放しになってしまう”
とジュールス。
そして、
“クララの人生を終わらせるのではなく、その不幸を終わらせるんだ”
とも。
ジュールスは、それでも納得していないクララに、
ゆっくりと部屋を歩きながら、妻のダヤナと自分の子供たちの話を初めます。
当時、消防署の電話対応をしていたジュールスは、
火事を発見した人物からの通報に対応していたのですが、
火事が起きている場所が 何とジュールスの自宅だったという災難に見舞われます。
自室だけが燃えたアパートに向かったジュールスが現場で見たものは、
死体袋からはみ出ていた指輪をした焼けた手首と、
子供部屋にあった1体の死体袋でした。
もう一人の子供、ファビエンヌはクローゼットに隠れ、一命を取り留めたのが唯一の救い…
この火事は、子どものろうそく遊びが原因だったようなのですが、
重度の鬱であった ダヤナには、火事に冷静に対応することは困難だったようです。
同じように精神に病を持つクララにはこのジュールスの話は堪えたようで、
苦手だという(飲みたくない)薬を手にとり考え込むクララ。


お互い無口な時間が過ぎる中、
キッチンの包丁立てにあるはずの包丁が一丁無くなっていることに気づいたジュールスは、
クララに断り、家の中のチェックを初めます。
それと同時にクララの方は、自分の名前を呼ばれている錯覚(?)に陥ります。
パソコンに目をやると、画面にクララの映像が流れていたり
更に窓に目を移すと、
“12月6日 彼か君か”
と以前と同じ字体で書かれていたりと幻覚(?)に惑わされます。
一方のジュールスの方も、自宅の照明を割って入り口にその破片を撒いたりと、不思議な行動を…
外部からの侵入に備えているのでしょうか?
でも何で? 何かがここにやってくるのでしょうか?
確かにジュールスは、何度も家の中を点検するように歩いたりと随分慎重なのは映画の見始めから感じたのですが。
家のチェックが終わったジュールスは、クララとの話を再開するのですが、
クララは今いる場所にカレンダー·キラーが来たといいます。
その証拠だとガラスに書かれたカレンダー·キラーの予告を写真に撮りメールをしてきます。
確かにホットラインのパソコンに届いた写真には、例の予告が映っていました。
カレンダーキラーを、夫マルティンだと思い初めたクララでしたが、
窓から見える別荘の周りを、あの 毛糸帽子の眼鏡男が歩いているのを見つけます😱
例の車庫のシャッターを潜り、家に侵入、
無防備にズカズカと侵入してくる男に見つからないよう電話を切ったクララは、
息を潜め脱出の機会を探ります。
スマホを切った時間が22時49分。
あと71分で日付が変わるのですが、果たして…
隙を見て別荘から脱出したクララでしたが、その日のベルリンは雪でした。
出来たばかりの足跡を見つけた毛糸帽子の男は、クララが脱出したことを知ります。
クララが抜け出したのは別荘地ですから周りは民家も照明もない山の中。
更にスマホも圏外。
暗闇の中逃げるクララは、足を滑らせ傾斜を落下、気絶してしまいます。(それほどの高さではなさそうです)
クララが次に会うのは、山道を車で走っていたサンタクロースの恰好をした中年男ヘンドリック。
道路脇で倒れていたクララを助け、街まで乗せてくれることになりました。
ヘンドリックは、サンタクロースの恰好で街で行なわれるパーティーに向かうところだといいます。
その頃別荘では、クララの旦那マルティンが車でやって来て、
ただならぬ状況を察知したようです。(クララの足跡も確認済み)
又、そのマルティンの様子を離れた場所で見ていた毛糸帽子眼鏡の男。
それぞれに思惑がありそうです…
多分残り時間を1時間を切ったであろうカレンダー·キラーの予告期限までに、
回収されるべき疑問がたくさんあります。
クララ、もしくは夫マルティンは予告通りに殺害されてしまうのか、
どちらも生き残る可能性はあるのか、
そうであればクララは、マルティンからの暴力の解放は成されるのでしょうか?
電話でクララをサポートをするジュールスは、上手く彼女を導くことが出来るのか、
彼の自宅で盗まれた包丁は、何を意味するのか、
包丁が盗まれたということは、眠っているジュールスの娘ファビエンヌは無事なのでしょうか?
そしてジュールスを助けるといった父親の活躍はあるのでしょうか?
又、比較的近くにいると思われるクララとサンタクロースのヘンドリック組と、夫マルティン、毛糸帽子の眼鏡男の接触はあるのでしょうか、
そもそもサンタクロースのヘンドリックは信用出来る人物なのか、
毛糸帽子の眼鏡男が予想通りのカレンダーキラーなのか?
最後にここまでで一切触れられていないクララの家、
つまり娘 アメリエと彼女を世話するシッターは果たして無事なのでしょうか?
敵か味方かわからない人物が多い中、クララはどのように残り時間を費やすのか、
見どころがあり過ぎるカレンダー·キラーの結末を見届けて欲しいです。
私、ちゅう がネタバレした辺りまでで映画の6割くらいだと思いますので、
展開が多いのが好きだとか、大どんでん返しが好きな方でしたら、
ネタバレ以降も大いに楽しめる作品であると思います。
日本では最近、芸能人の性犯罪のニュースで持ちきりなわけですが、
男女間にあった不平等感に異を唱える意見が多くなっていると感じます。
未だにアップデート出来ない意見がSNSで散見されている部分もあるのですが、
影響力のあるテレビ業界、芸能界にも やっと メスが入るようになって、
既得権益が崩れていくのを感じています。
ジャニーズの時のように、BBCのような外からの力ではなく、
日本の内側から悪習を壊していって欲しいものです。
その時はダークヒーロー的な解決になってしまうのかもですが、
ただ、方法はどうであれ、
今回の映画のクララのように暴力を我慢するのではなく、
我慢させない土壌を、あたりまえのように根付く日本になっていって欲しいなぁと、
カレンダー·キラーを見て考えてしまった ちゅうでした。

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