ジェルトリュードは何を見た

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別れ、死別。家族恋人や世界を守るための自己犠牲。報われない犠牲、不条理に翻弄される救いのない運命、任務失敗、未来が見えない真っ暗闇、ジ・エンド。

望まれないエンディングでもそこに救いを見出だせる物語があります。ちゅう が好んで思い出すのは映画、エレファントマン。アニメのフランダースの犬魔法少女まどか★マギカ。漫画ドラマのウロボロス仮面ライダーブレイド。最近みたドラマだと ひょう門 という中華ドラマもそうでしょうか。

当事者に寄り添うならば成功や勝利、であるので救いを見ることはできます。ただ我々傍観者には悲しさ、寂しさ、悔しさというマイナス感情が襲って来ます。生死は別として代償として主人公自身を捧げていますから。どうしてそこまで自分を犠牲にするの?他に方法あるんじゃないの?ていうのが傍観者の正しい見解でしょう。アンハッピーエンド、メリーバッドエンドの類いになります。

それでも正義や正直で綺麗な心を見せられると自分もこうありたいと憧れるものですよね。

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これに対し映画、カッコーの巣の上で猿の惑星ベティブルー楢山節考。漫画デビルマン(アニメは別) 、 小説の田園交響楽。これらも ちゅう の好みの物語ですが、救いがなく、希望もありません。感情の揺れ幅はあるもののそれ以上に不条理が強く絶望感や虚無感に頭の中を支配されてしまいます。

カッコーの巣の上で はロボトミー手術。猿の惑星、デビルマンは人類滅亡。ベティブルーはパートナーの精神崩壊、楢山節考は姥捨山、田園交響楽は少女の開眼手術後にその少女が自殺、とテーマがとてもヘビーです。正にBAD ENDの物語たちです。最近のものでは進撃の巨人なんかも同じ部類ですが結末を知りたくなる話ばかりです。

今日挙げた作品は記事にしたいものばかりだけど今回はその中からジッドの小説の話をしてみたいと思います。

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田園交響楽は19~20世紀フランスの作家ジッドのペンによる短編小説です。プロテスタントの家に生を受けるもカトリックへの改宗に揺れた時期もあったようで、信仰というものが彼の大きなテーマであることが分かります。

妻がいる身で同性愛に目覚めたりと宗派どころか宗教に対しての懐疑心はジッドの作品に投影されていきます。妻とは精神的繋がり、同性の愛人とは肉体的繋がりという現代的(?)な自由人ジッドだからこそ、ノーベル文学賞の名声がありながらローマ教皇庁に批判的な作品で死後禁書扱いを受けるという極端な評価を受けることになるのでしょう。

ちなみに妻との子はないのに、愛人(男)には養子をもうけています 。ジェンダーに優しい男尊女卑に見えてしまいますが、とにかくやることなすこと極端なイメージがあります。

小説、田園交響楽は 牧師 が手帳に日記を書き綴るかたちで物語られていきます。牧師は職業柄、身寄りのない少女ジェルトリュードを保護することになりますが、彼女は盲目、全く教育を受けていない無垢で動物的な少女でした。

牧師の手助けで美しく知的な女性へと変貌していくのですが、牧師の妻や息子の様々な感情の中、牧師は彼女に一心不乱に傾いていきます。

しかし開眼手術を心待ちにしていたジェルトリュードでしたが、その手術成功後に川に身投げをします。彼女の目は一体何を映したのか、どうして死を選んだのかを問いかける物語です。

ジッド自身が完璧な完成された人間ではないように、牧師も完全体ではない。牧師は完全な教育を施し、ある意味作り上げたジェルトリュードという完全体に見透かされたように見えます。盲人は牧師もそうであったと。

盲人もし盲人を導かば穴に落ちん

キリスト教が自死を禁ずるのに彼女が自死を選ぶのは、キリスト教も彼女にとっては完全ではなかったということなのかなぁ。

彼女の目が開き視覚を得たとき、花の色、形は教わった通り綺麗なものであっても、彼女の目で感じた人間の感情は、教わったものとは違って醜いものに見えたのでしょうか。そして彼女はどのような感情をもって死にいたったのか、と昔から答えのでていないこの問いを考え続ける ちゅう でした。

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