「マックスと僕 僕は天使に恋した」という青春映画を観ました。
幽霊とのラブストーリーというと、
パトリック・スウェイジ、デミー・ムーア共演の「ゴースト」みたいな ロマンチックなファンタジーを思い出しますが、
それ + ハイスクール青春モノ を掛け合わせた なかなかの傑作映画に仕上がっておりました。
ゴースト は涙なしでは見られない名作でしたが、さて今回ご紹介の
「マックスと僕 僕は天使に恋した」は、どんな作品なのでしょうか。
作品のあらすじを追ってみましょう。
マックスと僕 僕は天使に恋をした(原題 Max and Me)は、2021年公開のアメリカ映画。
🆘ネタバレ注意🆘
自分の人生を小説にするという宿題が出たのだけれども自分にはそれを書くネタがない、
と自分の平凡さを嘆く主人公ジョーディは、
田舎町で性教育をする教育者と ヨガの講師をする同性カップルを両親にもつ高校生。
家族は両親の他に“ネコ”と名付けた猫が一匹。
両親の仕事の関係で(3度目の転校)新しい町へやってきたジョーディは、
自分の部屋の窓から見える隣の家の同世代の女の子に一目惚れします。
いつも同じ窓辺にいて、外を眺めたり、本を読んだりしている女の子をことを、
ジョーディは自分の部屋からうっとりと眺めていました。
新しい学校初日、イジメられていた少年を不良グループから助けます。
助けた少年は フィン。
彼が校内で最初の友だちとなります。
(代わりに不良たちに目をつけられることになりますが)
フィンから新入生恒例の校内案内をしてもらい、(好きな娘の話も交えながら)打ち解けていきます。
ジョーディは、名前も知らない一目ぼれの女の子のことを、恋に百戦錬磨というお笑い担当フィンに話したところ、
“先ずはその子と会って、挨拶して、名前を聞き出すんだ”
と 的確なアドバイスを貰います。
帰宅してからは、女の子の家の前に花束(手作り)を置いたり
ジョーディは、キッカケを作ろうと動くのですが、なかなか勇気の伴う行動が出来ません。
翌朝、彼が目覚めると、朝食を作っている親から
切らしている食材をご近所さんから借りてくるよう頼まれます。
(アボカド借りw)
女の子の家に、重要な用事で訪問する口実が出来たジョーディは、
身だしなみを整え、コロンを振って、アボカドを借りに隣の家に行きます。
ドキドキしながらピンポンを鳴らすジョーディを出迎えたのは、
彼女のお母さん。
事情を説明して食材を借りるジョーディは、
自分くらいの子どもがいないか尋ねてみたところ、
彼女のお母さんは、急に泣き出してしまいます。
聞くと、
お母さんには娘がいたそうなのですが、
昨年亡くなってしまった とのこと。
衝動的な事実に頭がついていかないジョーディは、
学校に行けば、彼女のことを調べることが出来るのではと思い、
同級生に、昨年死んだ女学生はいなかったか確認してみます。
答えは yes で、
酸素ボンベを持ち歩いて学校に通っていた女の子のことを知ります。
生徒たちが彼女を追悼するために自主的に設けた寄せ書きを見て、彼は彼女の名前を初めて知ります。
名前は、マックス・フェアチャイルド 。
同時に、その寄せ書きから、彼女が愛されていたということも知ることになります。
自宅に戻り、パソコンで“ max fairchild ”と検索してみると、
彼女の 個人ブログが見つかりました。
“私は マックス。嚢胞性線維症と共に生きる15歳”
という文章とともに、
鼻に酸素吸入の透明なパイプをつけて、笑顔を見せる マックスの写真で、
ブログは始まっていました。
ブログは、病院での写真や動画で占められていました。
特に動画は、マックスの人なりが解るもので、
病気で苦しむ人々を勇気づけるような前向きな言葉で散りばめられていました。
そして、ジョーディのような将来のヴィジョンを見いだせない若者への言葉とも受けとられ、
病気の身(大病)なのに、一瞬一瞬を大切に生きていこうと、ブログ読者に訴えているように思える内容でした。
“Life is Magic ”と題された動画では、死を意識した内容で、
一瞬一瞬を大切に楽しんで生きるために
死ぬまでにやりたい、若者らしいクレイジーな冒険と(病気のマックスには出来そうもないこと)
日常のありふれたものから叶えたい小さな願い事を
マックスは紙に書き出していると言います。
ジョーディに問いかけるように、
“あなたならどんな願いを書く ?”というセリフでその動画は締められているのですが、
目標がわからない(模索中)ジョーディと、
死ぬ前に目標をもって楽しもうと努力するマックスとの
意識の違い(同年代なのに)が見えてしまうシーンでした。
勉強机でマックスのブログを開いたまま、朝まで眠っていたジョーディは、
起き上がり、窓の外を眺めると、
同じように窓の外を眺めていたマックス(亡霊⁉)と目が合います。
慌てて視界から外れたジョーディは、恐る恐るもう一度マックスがいた窓辺を確認しますが、
誰もいません。
と、同時に家のベル(来客)が鳴ります。
ジョーディは急いで階下に降りてみると、
母(教育者)が玄関前で拾ったジョーディ宛の メモを彼に渡してくれます。
呼び鈴で玄関に出た時には誰もいなかった、と母。
メモには、
“放課後、家に来て”と書かれていました。
そして差出人は、マックス…と。
その日の最後の授業、文学(⁉)の先生の力の籠もった朗読も心に響かないジョーディは、
時計を追いかけていました。
授業の終了を告げるチャイムと共に立ち上がり教室を飛び出した彼は、
マックスの家に向かいます。
意を決して彼女の家のドアをノックすると、すぐにドアが開き
彼女が彼の前に現れます。
スーツケースのような酸素ボンベを携え、鼻にチューブを装着した
ブログの動画のままのマックスでした。
最初に声に出したのはマックスの満面の笑みでの
“Hello!”
ジョーディも“Hello”で返しますが、どこかぎこちない。
それを悟ったマックスは、自分が一度死んでいる人間だということを説明、
自分を見ることが出来る人に初めて会ったことを教えてくれます。
そしてマックスの希望でジョーディの家で話しをすることになります。
いつもと違う雰囲気を感じとったジョーディの母(ヨガ)は、彼の心配をしますが、
強行突破するマックスとジョーディ。
マックスは心なしか嬉しそう。
ジョーディはマックスに部屋の案内をしますが、部屋は全く片付いておらず、パンツが脱ぎ捨ててあったりと、彼は恥ずかしい思いをします。
彼の机にある家族写真を見て(キリンと一緒に家族で写っている写真)、
彼を冒険好きの男の子、とマックスは勘違いしますが、
ジョーディは正直に、自分はむしろスリルを避ける人間、と本心を打ち明けます。
今後も会うという約束を取り付け、その日はお別れ。
ジョーディは、幽霊という存在を気にはかけていますが、それ以上にマックスと親しくなれそうなことがとても嬉しそうです。
実際、学校で友人のフィンにも、良い感じで進んでいることを報告しています。
不良グループにイタズラをされても、彼女のことを思えば、
すぐにニヤけてしまうジョーディは、完全に恋に落ちているようでした。
ジョーディの一家3人は、隣人としてマックスの両親から夕食の招待を受けました。
玄関先では、マックスのお母さんと犬を抱いたお父さんがお出迎え。
二人の後ろにマックスもいるのですが、もちろんそれが解るのはジョーディだけ。
そんな状況下で夕食会は始まります。
ジョーディに抱かれた犬のヘンリーが大人しくしているのは、
後ろでマックスがヘンリーをあやしているため。
マックスの両親は、初対面の人に懐くのは珍しいと嬉しそうに話してくれます。
とても良い雰囲気で夕食会は進んでいくのですが、
ただ、娘マックスが死んだ話については、マックスの両親とも未だ吹っ切れていないのか、見ていられないほどの落ちこみよう。
マックスもとても悲しそう…
その晩、ジョーディが部屋に戻り外を眺めると、マックスがこちらを見ていました。
彼女が手にしていたノートには、
“今晩は楽しかった”
と書かれています。
そして、“明日の朝、家に寄って欲しい”とマックス。
ジョーディにも、マックスにも特別な1日になったようでした。
翌朝、約束通りマックスの家へ立ち寄るジョーディをマックスは玄関先で待っていてくれました。
一緒に学校に行く、とマックス。
久しぶりの学園生活を満喫することになりました。

数学の授業中におしゃべりをするマックスとジョーディ。
周りから見れば ジョーディの独り言で、好奇の目を向けられますが、楽しそうな二人。
マックス曰く“学生生活で最高の1日”
帰り際に追悼の寄せ書きを見つけたマックスは、しんみりと友人たちの言葉を噛みしめます。
と、そこに例の不良グループが現れ、ジョーディは取り囲まれてしまいます。
“本当の友だちを作って人に優しくなるべき”
と不良リーダーを説きますが、
顔を殴られ鼻血を流してダウン。
それでもジョーディにとっては、マックスの前で見せた精いっぱいの冒険でした。
家に帰ると、母(ヨガ)が鼻血のジョーディを心配しますが、生き生きしている彼を見せつけられます。
先日も虐められてびしょ濡れで帰ってきたときも顔は笑っていた彼。
マックスの存在がジョーディを変えていました。
ヘンリー(ワンコ)を連れて一緒に散歩に行く二人。
公園でブランコに座りマックスはジョーディにお願い事をします。
それは、
ブログにもあった“死ぬまでにやりたいこと”で未だ出来ていないことを
ジョーディと一緒にやってみたい ということでした。
「マックスの人生リスト」と題され女の子らしくカラフルに作られたリストを見せてくれるマックス。
リストの最後の方は破れていて文字が読めないのですが、世界旅行以外は出来そうなものばかり。
“パーティー” と、文字が欠損している“秘密のやりたい事”の2つについては、少し不安がる素振りのジョーディでしたが、
明日からリストを進めていくことになりました。
その日の夜、ベッドの上で幽霊について調べるジョーディは、
霊能者のサイトで、
「幽霊は天使になれず現世に囚われている存在」
という言葉を見つけるジョーディ。
悲惨な死に方をした場合や、心残りがあった場合に囚われてしまうのだといいます。
そのサイトでは、10分間の電話無料相談を行っているとのことで、ジョーディは そちらに電話をしてみることにします。
彼が聞きたいことは、
“この世界で幸せな霊も、光の元へ行かなければならないのか”
ということ。
その答えについて霊能者は、
“幸せな霊もいるが旅立った方が幸せになれる。
例え人間と幸せに暮らしていたとしても、それは長くは続かない…
実体験として、愛する人が旅立つ手伝いをしたことがあり、その苦しさは分かる”
と、霊能者。
続けて、
“(彼女のことを)ちゃんと愛してあげて、旅立つことを手伝ってあげて。
そしてその時が来たら、あなたの愛と勇気をもって送り出してあげるのよ”
霊能者は親身になってアドバイスをくれました。
最初の“マックスのやりたいこと”スケートボードを終えた翌日、
親から車を借りたジョーディは、
助手席にマックスを乗せて 州立公園に向かいます。
ラジオから流れる音楽を二人で歌いながらの楽しいドライブ。
病室に森の写真が飾っていたらしく、疲れた時にその写真を見て、木になった自分を想像していたというマックスは、
森林浴を体験したい、とのこと。
彼女は樫の木になりたいと具体的な希望を持っていました。
公園に着いて森林浴をする二人。
“生まれ変わってこの世界に戻ってこれるのなら、この木になって酸素を作りたい”
というマックスに、
ジョーディも、ここの木になりたい と返します。
木に背中を預けた二人は、スマホで写真を撮りますが、
幽霊マックスのところに写っているのは、光のオーブ。
でも、
これが二人が一緒にいたことの唯一の証となるのでしょう。
ジョーディが部屋で本を読んでいると、マックスが部屋へ入って来ます。
玄関の呼び鈴を鳴らし、ドアが開いた瞬間を狙って入ってきたとネタ明かしするマックス。
悲しい物語を読んでいたのか、ジョーディの目に涙が滲んでいました。
二人はベッドの上に寝転がりおしゃべりしたり、トランプしたりで過ごします。
マックスは突然、別れの日が近づいているという予感をジョーディに伝えてきます。
彼女の心残りが減っていって、旅立ちの時が近づいているのを感じているのでしょうか。
“この世界に残れないの?”
という問いには、分からないと彼女。
ジョーディは、行って欲しくないと伝えますが、
いずれ彼も通る道(死)だとマックス。
本当に二人に別れが近づいているのでしょうか。
今度はチェスをしながら話しをする二人。(話しをしながらついでにチェスか)
明日がマックスの16歳の誕生日だということを知り
明日の放課後、誕生パーティーをすることにした二人でした。
翌日、学校を終え合流する二人。
アフリカの幸運のミサンガをマックスにプレゼントしたジョーディは、
カラオケをしたい、というマックスの願いを叶えてあげます。
マックスが家に戻ると、彼女の母親はベッドの上で泣き崩れていました。(父親の方も位牌の前で涙するシーンも)
母親を後ろから抱きしめマックスも涙します。
悲しいマックス16歳の誕生日…
一方のジョーディの方は、誕生日で恋の進展がなかったことを悔やみ(彼女に“友だち”と言われたことを気にしている)
彼女を喜ばせるために、部屋の中で世界旅行の気分を感じられるような模様替えします。
純な彼女は、彼のもてなしが嬉しかったのでしょう、
夜中まで彼の部屋で過ごし、更に彼のベッドで一緒に添い寝して朝を迎えることになりました。
恋人のように過ごせたことが、ただただ嬉しいジョーディ。
その効果でしょうか、
学校でも、不良グループのリーダーと和解、彼と友だちとなったり、
友人フィンが、知り合いのパーティーの話を持ってきたりと(マックスがパーティーに行きたがってる)
マックスとの恋、悪友との和解、パーティー参加と
ジョーディの周りが一斉に動き出して来ました。
パーティーの後、
次なる“やりたいことリスト”の“乗馬”を経験するために牧場にいた時のこと、
馬上のマックスは、隣を歩いてくれていた ジョーディに 大切な頼みごとをします。
それは、マックスとマックスの両親の間に立って、
マックスの気持ちを両親に伝えて欲しい、ということでした。(通訳的役割)
その日の夜、
マックスの家のソファーで神妙な面持ちのジョーディ…
マックスは、両親にどんな言葉を伝えるつもりなのでしょうか?
そして、ジョーディはこの大役(通訳)を無事に終えることが出来るのでしょうか?
更に、マックスとジョーディについて、
破れて欠損している“やりたいことリスト”の “最後の願い” とは一体何なのでしょうか?
そして、マックスは天国へ行かずに、現世に残ることは出来るのでしょうか?
マックスとジョーディ の恋の行方は どうなってしまうのでしょうか?
ピュアな二人の恋の続きは、是非映画を観ていただきたいです。
幽霊の設定が、色々とツッコミどころあるのは、置いておくとして
とても面白い青春ラブストーリーでした。
物語の結末は書きませんが、予想の範疇で ある意味納得できる内容でありました。
そして多くの人が感じたであろう若手俳優陣のピュア加減がとても印象的な作品でありました。
内気ですが健気な男子高校生 ジョーディ役の マシュー・エリック・ホワイト のことは、特に触れなければなりません。
冒頭はあどけさが目立つ色白の少年という感じでしたが、
マックスとの思い出を重ねる内に彼の良さが増していき、(精神的に彼女に近づいていく)
長身で、超絶ハンサムな大人の男だということに気付かされました。
若かりし頃の デヴィッド・ボウイを彷彿させるハンサムフェイスですね。
見ようによっては、ジェームス・ディーン、リバー・フェニックス辺りの雰囲気も感じました。
一方で、しっかり者の幽霊少女 マックスを演じた リリー・ブルー・アンドリューもとても考えられた配役だと感じました。
恋愛モノはだいたいのものが、現実ではあり得ない程の ファッション&ビューティーヒロインから成り立っていることが ほとんどですが、
マックスは、重い病気に侵されながらも前向きに進んでいこうと努力する、大人びた少女のイメージです。
とは言っても16歳になったばかりの素朴な少女の側面もあり、
その両面を持ち合わせた少女として、彼女はベストな配役だと感じました。
大人っぽいマックスに、ジョーディが追いつこうと努力していく成長物語ともいえる本作、
彼が彼女に追いついたのか、追い越したのかは、映画を見て 確認して欲しいです。
久しぶりにスッキリしたというか、清らかな清涼飲料水のような爽やかさを感じた映画でした。
涙も感動もないわけではないけれども、
主人公頑張った !! と拍手を送りたくなる心地よい映画も悪くないと思いましたわ、ホントに…
これからやって来る暑い毎日を
背筋が凍るほどの恐ろしいホラーも良いけれど、
年齢も関係なく楽しめる 極上青春ラブストーリーで、
暑い夏を乗り越えるのも悪くないかな、と思った ちゅうでした。
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