以前から見たいと思っていた 沢田研二 主演の「太陽を盗んだ男」を アマゾンプライムビデオ で初鑑賞しました。
こちら学生時代の頃から観て見たいと思っていた作品だったのですが、
レンタルビデオか、テレビ放送で観るか
と手段が限られていた地域にいたので、観る機会がありませんでした。
レンタル店で店頭に並ぶこともなかったですし。
2000年代に入ってから再度販売されていたようなのですが、
その頃にはそんな情報も知らず、存在自体忘れて過ごしていたのですね。
今回、見覚えのあるタイトルを目にして、ネットで検索したところ、
沢田研二と 菅原文太の妖しげなポスターを見て(同性愛者をイメージさせる)
昔見たいと思っていた“ソレ”だと気付くことが出来ました。
今回は、
そんな ちゅうにとっての“お宝映画”をご紹介したいと思います。
「太陽を盗んだ男」は、1979年公開の 沢田研二 主演、昭和の傑作カルト作品。
彼の他にも 菅原文太、池上季実子が主要人物で出演、水谷豊、西田敏行らもチョイ役と、
現在では名声を得た名俳優が目白押しの作品です。
🆘ネタバレ注意🆘
城戸誠(沢田研二)は、長髪で変わり種の中学校教師。
物理·化学を教える彼は、授業内容は可もなく不可もなくに見えますが、
教師としての資質は、正直なところハテナが付く感じ。
態度がお世辞にも良いとはいえず(ふうせんガムを噛みながらの授業や登下校)
教育の情熱が低く、
テスト中に居眠りと自分本位が目についてしまう感じ。
授業だけやっておけばいいか、という感じの意識低めの教師なのですが、
人間的には明るい性格で、生徒には好かれるタイプ。
“ふうせんガム”というあだ名を生徒に付けられることからもソレは伺えます。
学校を終えて古い公団(営)アパートに帰ってくると、
ところ狭しと置かれる化学実験の器具で溢れる研究とベッドだけの部屋で待つのは、一匹の猫。
城戸は、研究熱心で猫好きな独身者だということも分かります。
3年生を受け持つ彼は、クラスの親睦バス旅行中に、武装した年配の男にバスジャックされてしまいます。
天皇陛下に話したいことがある、というその武装男は、
城戸と彼の生徒を人質にして皇居にバスを向かわせ、関門の警備員をマシンガン&手榴弾で制圧します。
皇居敷地内に人質を乗せたバスごと侵入させた武装男は、
機動隊に囲まれたバスの中で籠城、夜を迎えます。
武装男は、要求を警察に伝達するために城戸をメッセンジャーとして使います。
城戸は現場を指揮する 山下警部(菅原文太)に犯人の要求やバスの状況を伝え
武装解除した山下警部とともにバスに戻ります。
天皇に会わせると約束する、山下警部の策に乗った犯人のスキを突き、
犯人の銃を制して、手榴弾を奪い安全なところに投げる山下警部。
銃で撃たれ出血しながらも、勇敢に犯人を取り押さえる彼を見て、
城戸は山下警部の男気に感心するばかり。
翌日学校では、生徒を無事に帰還させることになった城戸が、ヒーロー的な扱いを受けることになるのですが、
城戸の方は、山下警部の力強さに感化されたのでしょうか、
早朝ランニング、サンドバッグでボクシングと、体力を向上させることに余念がなくなります。
他にも拳銃を持ってポージングの繰り返し、電話の受け答えのシュミレートと、
まるで犯罪の準備(⁉)を感じさせる動きが見て取れるのですが、
実はこの映画のスタートから、城戸の不思議な怪しい行動・考え方というのはありました。
一つは、交番の巡査を襲撃、拳銃を奪われる事件。
この事件の犯行のシーンが映画の最初の方で見られたのですが、
老人が(明らかに城戸が扮装w)若い警察官を改造スプレーで眠らせるという場面でした。
今回の拳銃を持ってのポージングのシーンで、交番襲撃は城戸の犯行であることが解ります。
もう一つの怪しい動き・考え方とは、
城戸が原子力爆弾に執着していることです。
この映画のスタートは、彼が原子力発電所を双眼鏡で視察しているシーンから始まりましたし、
原子力爆弾は プルトニウム239があれば作れる、という独白があったこと、
理科の授業で原爆の作り方の授業をやっていたこと、などがあり
原爆を作りたい、という城戸の考えは見てとれるものでした。
これらのことから城戸は、原爆を作るために原子力発電所からプルトニウムを盗み出そうとしていることが分かります。
今回のバスジャックは、偶然の巻き込まれ事件でしたが、
バスジャックの武装男の犯行と、犯行を止める側の山下警部の力量を目の当たりにした城戸は、
原子力発電所からプルトニウムを盗み出すという城戸の計画を遂行するためには
何が足りないのか、を見極める良い機会になったのでしょう。
学生運動、あさま山荘、今回のバスジャック老人のような古いタイプのテロ活動では、
強靭な肉体と精神を持ち、緻密な戦略で待ち構える山下警部のような男にやられてしまうと悟ったのかも知れません。
そして、後日
深夜、
城戸は海から東海村の原子力発電所に上陸、潜入します。
発電所内では職員との肉弾戦、銃撃戦もありましたが、
城戸は無事にプルトニウムを盗み出すことに成功します。
城戸は、原子力爆弾をアパートの部屋で作り初めます。
アパートの部屋を実験室から製造工場に変え、
必要な機材、部品、薬品に惜しみなくお金をつぎ込んでいきます。(高利貸しからの借入もあり)
作成の過程は、とても細かく時間を割いて映像化されています。
ちなみに一緒にいた猫は、城戸が眠っている内に、核汚染され死んでしまいます☢️😢
城戸は2つの核爆弾を作成します。
一つは、プルトニウムの変わりに梅干しを入れた日本政府を脅迫するためのダミー核爆弾。
もう一つは、実弾ということになりますが、
城戸は、ダミー核爆弾を 国家議事堂の女性トイレに配置、日本政府を脅迫します。
(妊婦に女装、お腹にダミー爆弾を隠し国会議事堂に潜入)
政府はトイレに置かれた爆弾を分析、
爆弾内の梅干しと同じだけの質量のプルトニウムがあれば、核爆弾となってしまうことを知ることになりました。
日本政府は、国内犯罪で実績十分な 山下警部を窓口とする対策チームを結成、
核爆弾男の対応を迫られることになります。
しかし爆弾男(城戸)からの要求は変わったものばかり。
最初の要求は、
“9時で終わる今晩のプロ野球中継を、試合が終わるまで放送しろ しなければ核爆弾を爆発させる”
というもの。
政府高官の動きもありこの要求はクリアするのですが、
次の要求はなかなかの難題でした。
次の要求を決められない城戸は、普段から愛聴していたラジオ番組に委ねることにします。
ゼロ(池上季実子)と呼ばれるDJのラジオ番組を巻き込んで
リスナーの意見を集めてもらうのですが、ゼロが考えてくれた
ローリング·ストーンズの来日公演
を次の要求にすることにします。
ストーンズは、数年前にも来日公演の予定があったのですが、メンバーの麻薬問題で入国できず公演中止になった過去がありました。
愉快犯的で理不尽な要求で政府を翻弄する城戸でした。
またその頃、高利貸しの男(西田敏行)に付けられことがありました。(爆弾を作るために借りた金の催促)
男を返り討ちにするものの、お金が必要という現実問題にも直面し
現金5億円という、初めての要求らしい要求を山下警部に突きつけることになります。
政府·警察にとっては、
やっと犯人との接点ができる要求が来たことで、物語が動き初めます。
果たして
電話以外での接触が城戸と政府側でなされるのでしょうか?
ローリング·ストーンズ日本公演は実現するのでしょうか?
そして5億円の受け渡しは行われるのでしょうか?
城戸と 山下警部の対決はどちらに軍配が上がるのでしょうか?
そしてなによりも、城戸が作った核爆弾を止めることが出来るのでしょうか?
そもそも、
城戸は何のためにリスクを犯し、原子力爆弾を作るに至ったのでしょうか?
続きは是非、映画をご覧になって確認いただきたいです。
この映画を観て最初に思ったことは、数年前にNHKで放送されていた「日本沈没」という映画を観た時のこと。
映画 日本沈没を観て、
随分とスケールの大きな話だと思ったことと、
国内で上映するにあたり、様々な影響がありそうと、もう済んだことながらも(過去のことながら)心配になってしまったことを、
今回の映画 太陽を盗んだ男を観て、全く同じことに気を回していた事に気付きました。
こんな話作っちゃって大丈夫?って感じの、
余計な心配が付き纏ってくる衝撃作品ってことなんでしょうね。
日本沈没 は小松左京の 原作小説を読んでいたので、(内容を知っていたので)
映画にのめり込む感覚は、まだ小さかったと思うのですが
今回の “太陽を盗んだ〜”の方は、かなりのめり込んで視聴出来ました。
ジャンル的にこの辺りの娯楽映画はあまり観ることのないタイプのものだったのですが、
控えめに言って
“めちゃくちゃ面白い” です。
先ほどの映画 日本沈没や、漫画 デビルマンや 進撃の巨人(前半の話) レベルの傑作に思えました。
古い映画ですが、是非とも一度は観ていただきたい作品ですね。
こちら、作品の キャスティングでは 様々な俳優が候補になったようです。
この辺りの映画だとよく名前の出てくる萩原健一や、
実際に 山下警部役でオファーがあった高倉健は、城戸の方ならやりたい、との話があったそうです。
ただ、こうして完成した映画を観てみると、ちゅうが知っている沢田研二の良さが、凄く活かされていて
彼以外は考えられないってほどにハマり役になっています。
例えば顕著なのが、
老人に扮装して警官を襲うシーンあるのですが、その老人が正直ドリフの志村けんなんですよねw
見た目も仕草も志村けんの演じるお爺さんを演じてみました感があって、
そういうユーモア的なものも表現出来るのは 沢田研二なんじゃないかと思った次第です。(松田優作辺りと近いです)
萩原健一とか 高倉健だと 城戸先生が違う人物になってしまいますからね。
それにしても沢田研二は、色気のあるカッコいい男ですね。
当時の歌手の中ではずば抜けて色気を感じますし、
なんなら今まで見てきた歌手の中でも確実にトップクラスといえます。
ちゅうが小学生の頃、
「背中まで45分」という彼の大人過ぎる曲の歌詞を、(井上陽水作)
紙に書いて、歌っていた影響でしょうか、
エッチな色気といえば、未だに沢田研二を思い浮かべてしまう ちゅうでした。

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