カムチャツカ半島の地震(津波)の前の日に、「裏の顔」という映画を観ました。
映画の内容はまぁまぁ面白かったのですが、
物語の設定がイマイチわかりづらく、そのことで映画の評価を落としている感があったので、
勿体ないなぁと思っていました。
翌日2回目の視聴をして、わかりづらい設定がクリアできるのであれば、ブログに載せようと考えていたのですが、
翌日はカムチャツカ地震による 津波騒動で流れてしまい、
やっと最近、2回目の視聴を終えたところ。
やはり視聴者レビューの点数ほど悪い作品とも思えなかったので、
1週間遅れで 映画「裏の顔」のご紹介をさせていただく次第であります。
裏の顔 (原題 Imposture / Duplicity)は、2018年公開のフランスのミステリー映画。
⚠️ネタバレ注意⚠️
医療の仕事でカナダの片田舎を巡回して回る 主人公アリス。
雪山に閉ざされた患者の家を訪問している時に、(連絡が取りづらい場所)
職場から緊急の連絡が入ります。
アリスの母親スーザンが交通事故に遭ったと、数日前に病院から職場へ連絡が入っていたのですが、
電波が悪い地域に滞在していたために、その報告を遅れて受けることになってしまった アリスは、
出会って半年の恋人(同じ職場チーム) と一緒に病院に向かいます。
が、
病室は誰もいない もぬけの殻…
見覚えのあるブローチが一つ残されていました。
残念ながらアリスは、母親の死に目に会うことを許されませんでした…
アリスと連絡が取れなかった病院側は、
フランスにいるスザンヌの夫、アレクサンドル・コーシー(アリスの父親)と連絡を取り、
彼が母親の遺体を引き取っていったことを教えてくれるのですが、
それはアリスにとっては、ありえない話でした。
なぜなら、
アリスの父親は27年前に死んでおり、
その後 母親とアリスは、フランスからカナダに移り暮らしてきたという事実がありましたから。
しかし病院は、間違いなく戸籍上の父親は 書類上で生きており、
フランスから このカナダの病院を訪れ、
母親の遺体をフランスに送る手続きをしていったといいます。
そして明日の11時半に、ヨーロッパはフランスにて家族葬を行う、
との情報も教えてくれました。
狐につままれた思いの アリスとアリスの恋人(彼の名前は明かされていません)は、
急ぎ、母親とのお別れのために
カナダの トロントから、フランスは マルセイユ行きの飛行機に乗り、
フランスでの葬式に向かうことになります。
翌日、フランスの墓地にて、
アリスは少し離れたところから葬式に参列する面々を確認します。
アリスの母親であれば、分かる顔ばかりなのでしょうが、
6歳の時に父親と別れ、カナダで暮らすことになったアリスには、記憶のない顔ばかり。
複雑な面持ちで父親や親戚を見つめるアリス。
ただ父親を見て、忘れていた父親の面影をアリスは取り戻していたようでした。
(父親は死んだと聞かされていた理由はわからないままですが)
参列していた親戚一同が、車に乗り墓地を離れるタイミングを見計らって、
アリス(と恋人)は母親の墓前で最後のお別れをします。
そして、
アリスたちも 参列者たちが目指している父親の家に向かうことになるのですが、
その父親の家で、
アリスを演じる 偽者 がいることをアリスたちは知ります。
父親が生きていることも驚きでしたが、
父親や親戚一同皆が、その別の女性のことをスザンヌの娘 アリスと認識しているというショッキングな事態に遭遇することになります。
“私がアリス” とか “スザンヌは私の母”
と 偽者アリスに主張しても、
親戚たち誰もが、偽者アリスのことを本物と認識しているようです。
そしてそれは、
父親も例外ではありませんでした。
本物のアリスは、財産目当ての詐欺師だと…
アリスの恋人は 分が悪いことを悟り、アリスの手を引きその場を離れます。
二人は 滞在ホテルに置いてある パスポートを取りに戻り、
アリス本人を IDで証明する方法をとろうと考えるのですが
今度はホテルの部屋の金庫に入れていたはずのパスポートが見当たりません。
何もかにもが上手く回らず苛立ちを隠せないアリスを恋人は宥めます。
“明日警察に行って相談してみよう”と。

翌日、警察に行った二人を待ち構えていたのは、父親の古い友人だという女刑事。(役職を持ってそうなお偉いさん)
アリスの父親から、ジュリエットという女性が来て“自分がアリス”と主張してくるはず、
と刑事は父親から聞かされていた様子。
友人の言うことを信じきっている刑事は、アリスの見方にはなってくれませんでした。
ちなみにジュリエットという人物は、
亡くなった母親スザンヌの看護をしていたジュリエットのことで、
親戚の誰もが アリスの顔を知らないのをいいことに、アリスになりすまして父親の財産を狙う女という設定。
本物のアリスは、警察からもそんな人物だと思われていたのでした。
更に警察署を出ると、
黒人男性がアリスの元へやって来て
“ジュリエット”と近づいてきます。
このシャルルという黒人男性は、精神を病んだジュリエット(アリス)を介護していたといいます。
そして警察から連絡がありジュリエット(アリス)を迎えに来た、とも…
アリスは シャルルを追い払いますが、パニック状態。恋人にキツくあたってしまいます。
本物のアリスにとっては当然、偽物アリスに嵌められていると感じているのですが、
アリスの恋人にとっては、アリスに不利な事ばかりが続いて、
彼女に対して疑いの目も芽生え始めてきたところ。
信じたいけど、信じきれる要素がない状態…
結局、アリスは唯一の味方であった恋人とも気まずくなり、
彼は アリスをフランスに残し、カナダへ帰国してしまいます。
アリスは車の中で声を上げて泣き崩れます。
アリスはもちろん気の毒ですが、
彼女の力になろうとしていた恋人こそが気の毒過ぎるほどの、
後味が悪い別れとなってしまいました…
独りになってしまった アリスは反撃に出ます。
父親の家の近くに車を停め、偽者アリスが出掛けるのを待ち彼女を追尾します。
行った先はマンスリーマンション風の短期滞在アパート。
部屋に入った偽者アリスは、それほど時間も経たないうちに、
黒人男性シャルルと一緒に部屋から出てきました。
玄関先で少し会話した後、偽者アリスはシャルルを残し帰ってしまいました。
アリスはここで狙いをシャルルに変え、
レンタカーのトランクからタイヤ交換レンチを取り出し、
シャルルの部屋に侵入、レンチで彼の頭部を強打します😱
気絶しているシャルルを横目に部屋を物色、
アリスのパスポートを探します。
自分のパスポートは探せませんでしたが、シャルルのパスポートを発見します。
(MEYER CHARLES という 南アフリカ人)
彼が目覚め拳銃に手を伸ばそうとしたところを見逃さず、
先に拳銃を奪ったアリスは、
パスポートを返却すようシャルルに銃を向けます。
あっさりとパスポートを盗んだことを認めたシャルル。
アリスは、パスポートのある場所までシャルルに運転させ、パスポートを回収しようとしましたが、
逆にシャルルに拳銃を奪われ、運転をさせられます。
人気のない道に向かって運転させられるアリス。(多分彼女を殺すため)
アリスは意を決して、ワザと事故を起こし車を横転させ、血だらけになりながら脱出、
なんとかシャルルの魔の手から逃れます。
パスポートの奪還に失敗したアリスは、小さい頃彼女を世話してくれたマーサという子守りの女性を頼ることにします。
彼女はマーサの住所を調べるため、幼なじみのポールの会社に行き、
アリスの子守りだったマーサの電話番号を調べて貰います。
ただポールは現在、偽物アリスと交際しており(婚約者)明らかに偽物アリス側の人間。
それでも電話番号くらいなら、とアリスにマーサの電話番号を教えてくれます。
翌日、マーサとアリスは27年振りの対面を果たします。
マーサは盲目になっていましたが、
アリスの “マーサ?”という呼び声だけでアリスのことを思い出し、
アリスに触れ、顔を触ることで、
彼女が間違いなくアリスであることを確信したようでした。
そして、
アリスの父親であるコーシーを、こちらが本物のアリスだと説得してくれると言ってくれました。
アリスにとって一番の理解者がここにいました。
翌朝、目が覚めたアリスは、
返事のないマーサの元へ行ってみると、
チェアーに身を委ねていたマーサは、全く動きません😭
首元には、
黒ずんだ絞殺痕…
マーサの第一発見者にして、警察のお偉いさんから目を付けられていたアリスは、
結局、留置所にぶち込まれてしまいます…
最後の望みの綱だったマーサも殺され、自身はその容疑でブタ箱入り…
絶体絶命のピンチを、アリスはどのように切り抜けていくのでしょうか?
そしてまだ明かされていない、アリスには“父親は死んだ”と伝えられていた理由と、
父親と一緒に暮らさずにカナダへ渡った理由は何んだったのでしょうか?
そして最後に、
アリス vs 偽者アリスwith黒人シャルル の対決の結末はどう進んでいくのでしょうか?
この結末は、是非とも映画を観て確認いただきたいです。
色々とツッコミどころ満載の映画(TV映画)で、
状況がとても分かりづらいという欠点が目立つ作品ではありました。
(ちゅうは2回視聴して、大分細かく観れました)
2時間映画にするよりも、
より時間が取れるドラマの方が向いていた作品だったかなぁと。
題材としては非常に面白かったと思います。
最初から最後まで目を離さずに楽しむことが出来ましたから。
登場人物の善悪がハッキリとした作品なのかと思えば、意外とそうでもなく、
それぞれが何らかの欠点を抱えているのが面白く、
ヨーロッパの映画の流れを汲んだ良作だと感じました。
残念なのは、「裏の顔」という希薄に感じる邦題。
これで問題なかったのでしょうかね。
シンプルに imposture を訳して、
“詐欺”とか“なりすまし”で良かったような…
(duplicity の方をやっちゃったかぁー)
こういった目につく部分が多い作品ですが、悪いだけのものでもありません。
ちゅうが、この映画で一番気にいっているところは、
圧倒的に、
主人公アリス役の ローラ・スメットの存在感に尽きます !
憂いの佇まい、が魅力の彼女ですが、
鋭い眼差し、優しい微笑み、悲しい泣き顔、などなどの 表情がとても豊かな女優さんでした。
髪型を変えたり、服装を変えるだけでも、ドキっとさせられる場面ばかり。
実はこの方、この映画が初見ではなく、
「閉じられた裸身」という映画で観たことがありまして、
(Hを期待して借りたけど、そうでもなかった作品😟映画自体は悪くなかった)
その時も同じように独特な存在感のある女優さんだと感じたことを思い出しました。
ジャズピアニストになりますが、 カナダ人の ダイアナ・クラールっぽい切れ味と影のある美人さんですね、ローラ・スメットは。
これからも応援したくなる俳優さんでした。
彼女以外の俳優さんも個性的で、とても絵になる特別なシーンがいくつかありました。
一つが、アリスとマーサの27年振りの再会シーン、
もう一つが、偽者アリスと シャルルの ラストシーン。(詳しくは映画で観て)
どちらも美しく印象に残るものでした。
ホントに、
こういういいところがある作品なのに、
わかりづらい状況設定が多すぎだと思うのですよ、この映画。(脚本❌️)
ちょっと勿体ないかな。
「裏の顔」という邦題が残念、といったお気持ち表明させていただきましたが、
映画でも音楽でもいいのですが、
邦題というのは、良いケースは勿論あるのですが、
悪いケースの方が圧倒的に多い感じがします。
最近、「プリンス・オブ・ダークネス」と呼ばれたヘヴィメタルの帝王 オジー・オズボーンがお亡くなりになり、世界的なニュースになりましたが、
彼の楽曲でも、とんでもない邦題が付けられたものがありました。
1986年発売の「罪と罰」というアルバムに収録された 80年代風のポップのオジーのヒット曲、
「暗闇にドッキリ !」がその曲でした。
原題が Shock in the Dark なら直訳と言えなくもないですが、
原題は「Shot in the Dark」。
なんでこんな邦題付けた?
と、
日本のオジーファン及び メタルファンが 激おこだったことを思い出してしまった ちゅうでした。
R.I.P. Prince of Darkness…
コメント